完璧な納品事例ほど、実務の役に立たないものはありません。学ぶべきは、問題が起きたときの対応の記録です。MarineMax(NYSE: HZO)は世界最大のレジャーボート・ヨット販売会社で、120以上の拠点を持ちます。そのCEO、ブレット・マクギル氏がフロリダ本社の役員室にイタリア製オフィス家具を導入した六年間の記録には、三つの不具合と、五回の発注が並んでいます。
この二つの数字は矛盾しません。むしろ、前者が後者を生みました。その仕組みを、時系列でご覧いただきます。
不具合一:電圧の違うプラグ
初回納品の目玉は、CEO自身のスケッチから工場図面に起こされた特注品 — 飲料用冷蔵庫を内蔵したBerniniラインのキャビネットでした。ところが冷蔵庫は欧州仕様のプラグのまま、電圧の異なる国に到着しました。
お客様は現実的に解決されました。私たちはこのミスを恒久的な仕組みに変えました。以来、電化要素を含むすべての注文で、仕向け国の電圧確認を注文確認時の必須項目としています。ミスを認めれば手順になり、隠せば危機になる — これが私たちの改善の第一歩でした。
不具合二と三:傷と異音
引き出しの取っ手数個に、納品時の傷が確認されました。対応は言い訳ではなく部品でした — 交換部品をイタリアの工場で製作し、発送。また一部の椅子に金属的な異音が発生した際は、苦情を放置せず、製造元に原因究明と対策を求める案件として正式に起票しました。
いずれも書面で完結し、記録に残っています。不具合対応の品質は、納品の品質よりも雄弁にサプライヤーを語ります。
そして、発注は続いた
最後の連絡から十五か月の沈黙ののち、マクギル氏から自発的にメールが届きました。«I am enjoying my office with all the furniture I bought from you» — そしてキャビネットの小型版とCoduttiのコートスタンドを追加発注。二年後には、初回納品時に置いていった印刷カタログを別の役員が手に取り、同じビルで新しいプロジェクトが始まりました。最大規模の設置作業のあと、CEO秘書のリンダ・キャメロン氏はこう書いています。«Those installers are awesome! The executive is very pleased with his furniture»
納品はすべてICCのインコタームズ規則に基づくDDP条件 — 製造、海上輸送、通関、館内設置までを一本の契約で。営業活動は一切ありませんでした。あったのは、記録と改善だけです。
日本の発注担当者への示唆
サプライヤーを選ぶとき、最良の事例集ではなく、最も困難だった不具合の記録を求めてください。原因、対応、再発防止策が書面で示せるか。示せるサプライヤーは、次の不具合でも同じように動きます。示せないサプライヤーは、貴社の案件で学ぶことになります。イタリアの工房の技術と、不具合を仕組みに変える運用 — この二つが揃ってはじめて、六年間の取引は成立しました。
Quick answers: イタリア製オフィス家具の導入
輸入家具で不具合が起きたら、対応はどうなりますか?
案件として起票し、書面で完結させます。本事例では傷のついた取っ手の交換部品をイタリアで製作・発送し、椅子の異音は製造元への正式案件として原因と対策を求めました。対応記録はすべて保管されています。
カタログにない特注品は製作できますか?
可能です。お客様のスケッチを承認済みの工場図面に起こしてから製作します。本事例では冷蔵庫内蔵キャビネットを特注し、数年後に同じ図面資産から小型版を製作しました。電化要素は仕向け国の電圧を注文確認時に検証します。
輸送・通関・設置は誰が担当しますか?
DDP条件ではサプライヤーです。製造から海上輸送、通関、ホワイトグローブ設置までを一本の契約で管理し、現地チームが館内で組み立てます。お客様は一枚のプロフォーマに署名し、完成した役員室を受け取ります。
納期はいつ確定しますか?
注文確認時に、製造・輸送・通関・設置を含む一つの計画として書面で確定します。構成を検討する前の口頭の納期約束は、確約ではなく警告サインとお考えください。