規格&基準

地震に備えるオフィス家具——転倒防止の考え方とJIS規格の読み方

背面照明付きのすりガラス前板の受付カウンター、明るいオーク材の収納とオープン棚

日本のオフィスで家具を選ぶとき、デザインや座り心地の前に、静かに問われる基準があります——地震のとき、この家具はどうふるまうのか。イタリア家具の輸入に携わる私たちにとっても、これは日本市場でこそ正面から向き合うべきテーマです。この記事では、オフィス家具の耐震を考えるための規格の読み方と、転倒防止の実務、そして輸入家具を選ぶ際に確認すべき書類を整理します。

家具の耐震を語る規格、JIS S 1018

オフィス家具の耐震性能を考えるうえで軸になるのが、収納家具の振動試験や転倒に関わる評価を定めたJIS S 1018です。ポイントは、家具単体の頑丈さではなく「揺れの中でのふるまい」を評価するという考え方にあります。書棚やキャビネットは、中身を収めた状態で揺すられたときにどう動くか、何が先に起きるかが問われます。仕様書やカタログでこの規格への言及を見つけたら、それは作り手が日本市場の問いに正面から答えようとしている印です。逆に、耐震への言及が一切ない収納家具の提案は、それ自体がひとつの答えだと考えるべきでしょう。

デスクとチェアにも、それぞれの規格がある

収納だけではありません。オフィスデスクにはJIS S 1031、オフィスチェアにはJIS S 1032という規格があり、強度や安定性、耐久性の試験方法を定めています。日々の使用に耐えるかどうかは、ショールームの第一印象ではなく、こうした試験の裏付けで判断するのが確実です。輸入家具の場合、イタリアの主要メーカーは欧州規格(EN規格)に基づく試験成績を整えています。EN規格とJIS規格は同一ではありませんが、評価しようとしている内容——強度、安定性、耐久性——は共通です。大切なのは、どの規格であれ「試験の書類が存在し、提示できること」。メーカーが宣言し文書化した内容だけをお伝えする、というのが私たちの変わらない原則です。

転倒防止は「製品選び」と「設置計画」の両輪

耐震は製品カタログの中だけで完結しません。同じ書棚でも、置き方ひとつでリスクは大きく変わります。実務の要点は三つ。第一に、背の高い収納は壁や床への固定を前提に計画し、固定方法をメーカーの施工資料で確認すること。第二に、重いものを下段へ、軽いものを上段へという収納の基本を、家具の選定段階から意識すること——引き出しやトレーの構成は、この原則を助けるようにできています。第三に、避難経路に面した場所には転倒時に通路をふさぐ家具を置かないこと。家具の耐震とは、製品の性能と設置の知恵をひとつの計画にまとめる仕事なのです。

ビルの耐震と家具の耐震——BSLが分けた役割

建物そのものの耐震は、建築基準法(BSL)が担っています。日本の建築基準は世界的に見ても厳格で、オフィスビルという「器」の安全性はこの法体系が支えています。家具の耐震は、その器の中で人と物を守る、もうひとつの層です。器が堅牢でも、中の家具が無計画なら被害は起きる——だからこそ、内装や家具の計画段階で耐震を織り込む価値があります。移転や改装のタイミングは、家具の耐震計画を根本から見直せる貴重な機会です。

もうひとつの安心、F★★★★

地震とは別の軸で、日本市場が家具に求める基準があります。ホルムアルデヒド放散量の等級、F★★★★(エフ・フォースター)です。最上位のこの等級は、室内空気への配慮を示す指標として、オフィス家具の選定でも広く参照されます。輸入家具では、メーカーが公表する材料・放散に関する文書を確認しましょう。イタリアの主要メーカーは欧州の厳しい環境基準に基づく文書を備えており、照合は難しくありません。ここでも原則は同じです——ロゴではなく、書類を確認すること。

輸入家具を選ぶときに確認したい五つのこと

最後に、実務のチェックリストです。第一に、収納家具について耐震・転倒防止に関するメーカーの資料があるか。第二に、デスク・チェアについて強度や耐久性の試験書類(ENまたはJIS)が提示できるか。第三に、壁固定など設置方法の施工資料が整っているか。第四に、材料と放散に関する文書が確認できるか。第五に、これらの書類が見積もりと一緒に、製造前に届くか。ラ・メルカンティでは、メーカーが宣言し文書化した資料を見積もりに添えてお渡しします。文書のないものは、約束しません——地震国のオフィスにふさわしい誠実さだと考えるからです。

クイックアンサー

オフィス家具の耐震で最初に確認すべき規格は? 収納家具ならJIS S 1018が軸になります。振動の中での家具のふるまいを評価する規格で、仕様書にこの言及があるかどうかが、耐震への姿勢を測る最初の目安になります。

イタリア製家具は日本の耐震基準に対応できますか? 評価の枠組みは異なりますが、主要メーカーは欧州規格に基づく強度・安定性の試験書類を備えています。重要なのは書類が存在し提示できること——そして壁固定など設置面の計画を日本の実務に合わせることです。

転倒防止で設置時にできることは? 背の高い収納の壁・床への固定、重い物を下段に収める運用、避難経路に面した場所への配置回避——この三つで、同じ家具でもリスクは大きく変わります。メーカーの施工資料を必ず確認してください。

F★★★★とは何の等級ですか? ホルムアルデヒド放散量の最上位等級で、室内空気への配慮を示す日本の指標です。輸入家具では、メーカーが公表する材料・放散関連の文書で内容を確認するのが確実です。

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